シェバという名のよこしまな者が、またまた反乱を起こそうとします。前章の終わりで、ユダ族の強い言葉に他の部族が負けてしまったことが出て来ました。このユダ族以外のイスラエル人たちが、シェバに踊らされて王から離れてしまうのです。
不従順と身勝手
そこで、ダビデは新しい将軍アマサに対して、ユダ族の人々を三日のうちに招集するように命じました。ところが彼は期限が来ても戻って来ませんでした。反乱が大きくならないうちに事を収めなければならないダビデは、今度はアビシャイに反乱の首謀者であるシェバの討伐を命じます。アビシャイと、将軍の職から更迭されてしまったヨアブ、その他の家来たちが戦いに出かけます。
さて、この者たちがギブオンの大きな石のそばに来たとき、あのアマサ将軍とばったり出くわします。期限までに帰らず、彼はどこで油を売っていたのでしょうか。だいたい、南部に住むユダ族の説得に行ったはずなのにギブオンにいるのはおかしいのです。これは明らかに命令に対する不従順です。野心家であった彼は反乱軍に接近していたのかもしれません。
ヨアブ“元”将軍は、自分の代わりに将軍に任じられたアマサを良く思っていなかったでしょう。彼は「兄弟、元気か」と挨拶をしながら口づけするフリをしてひげを掴み、下腹を剣で刺して彼を殺します。これでヨアブは何人を暗殺したでしょうか。しかも、それは毎度毎度、王の命令とは関係のない彼の身勝手からの行動なのです。
「ヨアブにつく者、ダビデに味方する者は、ヨアブに従え。」(20:11)
このようにヨアブの部下は叫びました。ヨアブの心にあった「俺はまだまだ引退しないぞ。ダビデ家は俺の力で支えられているのだ」というプライドを代弁しているかのようです。アマサにしても、ヨアブにしても、王から命じられたことを行わない罪、王から命じられてもいない事を勝手に行う罪を犯しています。誰が主人であるかを見失い、自分自身を主人とする生き方に彼らは支配されていたのです。
神の正義
よこしまな者シェバは、アベル・ベテ・マアカという町に立てこもります。しかし、一人の勇敢で知恵のある女性によって命を奪われ、この反乱は終幕を迎えます。最終的には神の正義が行われるのです。反乱を起こすよこしまな者ではなく、神の正義のために用いられる私たちでありたいと願います。
このくにで主に従う―日本人とキリストの福音 (シリーズ・現代に生きる)
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