ルカ1章1-23節
著者・読者・目的
この福音書は、パウロの同労者であった医者ルカによって書かれました。
…尊敬するテオピロ殿。それによって、すでに教えを受けられた事がらが正確な事実であることを、よくわかっていただきたいと存じます。(1:3-4)
ルカは、テオピロと呼ばれるローマの高官に向けて、主イエス様の生涯と教えについて伝える目的でこの書を記しました。彼は「すべての事」を「初めから」「綿密に調べて」いますと語っています。ルカは優れた歴史家として、主イエス・キリストの言葉と行いを正確に書き記すための調査を行い、それを丁寧に書き記しました。
すでに何らかの形でキリスト教の教えを学び初めていたテオピロに対して、ルカは「すでに教えを受けられた事柄が正確な事実であることを、よくわかっていただきたい」と願いました。テオピロがはっきりとした信仰の確信に導かれ、救われ、成長するようにと願いながら、ルカはその知性と信仰を総動員し、聖霊に導かれながらこの福音書を記しています。
私たちのこの福音書を読むことで、「すでに教えられた事柄が正確な事実であることをよく分かる」ように導かれていきたいと思います。
バプテスマのヨハネの受胎告知
5節からは、メシヤ到来の道備えをしたバプテスマのヨハネの誕生のいきさつが記されています。祭司ザカリヤとエリサベツの夫妻が用いられます。
ふたりとも、神の御前に正しく、主のすべての戒めと定めを落度なく踏み行なっていた。(1:6)
彼らは単に形式的に戒律を守ったり儀式を行っているというだけでなく、その内面においても「神の御前」で正しく生きる信仰者でした。つまり、主を恐れ、主を信頼する人々だったのです。
不妊であった彼らは既に子どもを授かることをあきらめていました。しかし、主なる神は、主に御前に正しい心を持った人々をお捜しになり、見い出し、人間の想定を越えた形で用いてくださるのです。