道奥 MICHINOKU せみなりお

聖書を学び、聖書で考え、聖書に生きる

ネヘミヤ記2-3章

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ネヘミヤの資質として「味方を得る力」を挙げました。ユダヤ人たちはネヘミヤを通して分かち合われた神からの情熱、重荷、ビジョンを自分のものとし、その実現のために自分を捧げています。ネヘミヤはどのようにビジョンを分かち合ったのでしょうか。

 

権威を委ねられている人に分かち合う

 

2章で見たように、エルサレムの城壁再建を成し遂げるためには王の承認を確保する必要があり、それがなければそもそも旅に出られないし、役人たちの協力も得られないという状況でした。

 

「王さま。もしもよろしくて、このしもべをいれてくださいますなら、私をユダの地、私の先祖の墓のある町へ送って、それを再建させてください。」王は私に言った。――王妃もそばにすわっていた――「旅はどのくらいかかるのか。いつ戻って来るのか。」私が王にその期間を申し出ると、王は快く私を送り出してくれた。(2:5-6)

 

権威を委ねられている人物は、有力な賛同者、支援者、必要な資源の提供者ともなり得ます。世俗の権威も含め、すべての権威は神の許可のもとに与えられていることを聖書は教えていますので、それを委ねられている人物の理解を取り付けないでことを進めることは基本的にふさわしくありません。

 

家庭の中で、夫の理解を全く得ない状態で妻が「我が家の新しい計画はこうだ!」と、大きな方向転換を打ち出すなら聖書的な秩序が崩れます*1

 

 

関わりのある人々、援助してくれる人々に分かち合う


ネヘミヤは、周辺国の総督(役人)たちの理解も取り付ける必要がありました。このビジョンを実現する上で、彼らはどうしても関わりのある人々だったからです。

 

それで、私は王に言った。「もしも、王さまがよろしければ、川向こうの総督たちへの手紙を私に賜り、私がユダに着くまで、彼らが私を通らせるようにしてください。(2:7)

 

エルサレムに行く途中、どうしても周辺諸地域を通らなければなりません。許可なしに誰かのテリトリーを侵すなら、殺されても文句の言えない社会です。安全に通行するためには許可が必要でした。

 

また、王に属する御園の番人アサフへの手紙も賜り、宮の城門の梁を置くため、また、あの町の城壁と、私が入る家のために、彼が材木を私に与えるようにしてください。」私の神の恵みの御手が私の上にあったので、王はそれをかなえてくれた。(2:8)

 

木材がなければプロジェクトは破綻します。御園(王の所有する森)の番人たちは、この城壁再建を援助してくれる存在となりました。

 

私たちがもし新しいミニストリーを始めようと思ったら、助言してくれる専門家が必要かもしれませんし、必要な資金を提供してくれる賛同者が必要かもしれません。場所が必要ならそれを貸してくれる大家さん、宣伝が必要ならば…といろいろ挙げることができます。

 

 

一緒に働く人々に分かち合う

 

3章を見ると、実に多くのバラエティ豊かな顔ぶれが城壁再建に参与しています。ネヘミヤがどのようにしてこの人々にビジョンを分かち合ったのか詳しくは書かれていませんが、サヌバラテら反対者に対してネヘミヤが立ち向かう態度、その言葉などが民に大きな影響を与えたことは想像に難くありません。

 

こうして、大祭司エルヤシブは、その兄弟の祭司たちと、羊の門の再建に取りかかった。彼らはそれを聖別して、とびらを取りつけた。彼らはメアのやぐらまで聖別し、ハナヌエルのやぐらにまで及んだ。(3:1)

 

大祭司エルヤシブ(神は回復させてくださるという意味の名前)らが、まず作業者リストのトップに挙げられ、率先して働きに取り掛かって良き模範を示しています。実は彼は、宿敵サヌバラテの親族であり、もう一人の宿敵トビヤとも親しい人物です。ですから、ネヘミヤの反対者になっても不思議ではない人物でしたが、ネヘミヤはその彼をこのプロジェクトの一員として迎えました。

 

その次に、テコア人たちが修理したが、そのすぐれた人たちは彼らの主人たちの工事に協力しなかった。(3:5)

 

テコア人の一部の人々、しかも、すぐれた人たちが作業に協力しなかったと書かれています。大多数は協力的でしたが、やはり協力的ではない人もいるのです。しかし、ここにネヘミヤは協力しなかった人々の実名を記録することはしませんでした。

 

また、ある人々は自分の専門分野以外のところでの働きも厭わずに仕え、特に熱心に仕えたと記録の残っている人々もいます。自分の家の周りだけを直した人の働きは、小さいもののように思えるかもしれませんが、それも必要な奉仕でした。

 

あなたはどんな形で、教会に与えられている神様からのビジョンに加わっていますか。また、あなたはどんな人々に、どんな態度で、あなたに与えられているビジョンを分かち合っていますか。

 

 

*1:夫と妻とが逆の場合は、秩序や権威の問題ではなく愛の問題として夫の責任が問われる。念のため記しておく。