道奥 MICHINOKU せみなりお

聖書を学び、聖書で考え、聖書に生きる

エステル記(はじめに)

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エステル記は、ペルシャの王妃となったユダヤ人エステルが主人公です。この書が扱っているのは、アハシュエロス*1という称号で呼ばれたクセルクセス王が統治した時代(BC486-465)の出来事で、エズラ記6章と7章の間の空白期間にあたります。ユダヤ人の中には、捕囚が終わって祖国に帰還した人々もいれば、エステルや従兄であり養父であったモルデカイのように残った人々もいたのです。

 

「神」という言葉が登場しない書

 

エステル記は「神」という言葉が一度も出てこない不思議な書です。ある人々はこのような書が聖書に含められていることに疑義を抱き、反論を唱えました。しかし、よくよく読むと、一連の出来事の中で、神という呼び名を用いなくても神ご自身が英知と愛をもってご自分の民を守っておられることがよく分かります。

 

ちなみに「主」を意味するヤハウェ(YHWH)という言葉は、並んでいる単語の頭文字という形で、1:20, 5:4, 5:13, 7:5, 7:7に登場します。

 

確かに神様は必ずしも私たちがパッと見てすぐにわかるような仕方で働いておられるとは限りません。しかし、すべての歴史、すべての人々の人生に、生きておられる神は関わり、働きかけておられるのです。そのことを信じ、神を信頼し、神に従うかどうかが、私たちに問われています。

 

 

エステル記のテーマ

 

エステル記のテーマは、民族殲滅の危機からユダヤ人たちが救出されるということと、その出来事を起源として始まったプリムの祭りの由来を説明することです。

 

神はずっと昔にアブラハムを召し出して、次のように語られました。

 

「あなたを祝福する者をわたしは祝福し、あなたをのろう者をわたしはのろう。地上のすべての民族は、あなたによって祝福される。」(創世記12:3)

 

神は、エステルの時代においてもこの約束(アブラハム契約)をお守りになったのです。

 

 

エステル記のアウトライン

 

Ⅰ.エステルの選び(1-2章)

 

 A. 王妃ワシュティを失う王(1章)

 B. エステルを選ぶ王(2章)

 

Ⅱ.ハマンの陰謀発覚(3-7章)

 

 A. ハマンの悪しき筋書き(3章)

 B. モルデカイの大いなる憂慮(4章)

 C. エステルの勇敢なとりなし(5-7章)

 

Ⅲ.イスラエルの守り(8-10章) 

 

 A. 王の新しい宣告(8章)

 B. ユダヤ人の新しい勝利(9章)

 C. モルデカイの新しい栄誉(10章)*2

 

 

クレイ聖書解説コレクション「エステル記」

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*1:これはエジプトの王がパロと呼ばれたのと同じように、王たちに共通する称号であったと考えられる

*2:このアウトラインは、“Wiersbe's Expository Outlines”を参考にしました。