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道奥 MICHINOKU せみなりお

聖書を学び、聖書で考え、聖書に生きる

ディビッド・プラット『ラディカル』

読書 随想 神学 リーダーシップ

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年が明けてすぐに読んだ本の紹介を…。この本の著者であるディビッド・プラットは、1979年生まれ、36歳(2016年1月現在)の牧師です。ニューオーリンズ・バプテスト神学校で二つの博士号(神学、哲学)を取得した後、彼は同神学校の准教授(弁証学・講解説教)に着任、さらにその後26歳でブルックヒルズ教会というメガチャーチの牧師となります。彼は「史上最年少のメガチャーチ牧師」として一躍有名になります。ところが…

 

…私は少しずつ不安を感じるようになっていた。というのは、私が宣教のモデルとしていた人物には協力者は12人しかおらず、その人物が地上を去る時にその教えを実践していた者は120人しかいなかったからだ。その教会はまさにミニチャーチ。イエス・キリストは「史上最年少のミニチャーチ牧師」だった。…明らかに主イエスは、群衆の人気を得ようとは考えていなかった。弟子になりたいと思っている人の多くが、イエスの革新的(ラディカル)な言葉を聞いて弟子になることを断念したが、イエスは、そのことを全く気にも留めていない様子で、むしろ、革新的なことを言ってもご自分について来た少数の弟子たちを訓練することに集中した。弟子たちが徹底的に主イエスに従ったことによって、イエスは歴史の流れを新しい方向へと変えた。(『ラディカル』日本語版16頁より)

 

ラディカル

ラディカル

 

 

ある意味でアメリカンドリームの体現者であった彼ですが、そのような生き方に疑問を抱き、それが果たして主イエスの求める弟子の生き方なのだろうかと問い始めるのです。本書『ラディカル』の原題は、“Radical: Taking Back Your Faith from the American Dream”で「あなたの信仰をアメリカンドリームから取り戻す」という副題が付いています。日本語版ではこのアメリカンドリームを「自己実現」と訳していて、この本の語る内容が単にアメリカ人だけではなく私たち日本人のクリスチャンにも当てはまるものであることを示してくれています。

 

感じの良い中産階級のアメリカ人のようなイエス。物質主義にも目をつぶり、持っているものをすべて捨てろ何て言わないイエス。イエスだけを愛するために最も親しい人々とも別れろなんて言わないイエス。快適な生活を邪魔せず、表面的な献身でも許してくれるイエス。イエスはありのままの私たちを愛してくださる方なのだから。革新的(ラディカル)な信仰を避け、バランスのとれた信仰を持つことを望むイエス。私たちに快適で豊かな生活をもたらし、クリスチャンのアメリカンドリーム話を実現させてくれるイエス。しかし、あなたも私も、この時点で自分たちが何をしているのか気づいているだろうか。自分好みのイエスの姿に着せ替えているのだ。イエスの姿がますます自分に似てくる。結局のところ、私たちは、自分とつき合うときが一番気楽だからだ。今さらされている危険は、私たちが教会堂に集まって手を挙げて賛美をしている時、実は聖書のイエスではなく、自分自身を礼拝しているかもしれないという危険である。(『ラディカル』日本語版30頁より)

 

私たちが主イエスに似た者へと変わっていく代わりに、主イエスを私たち好みに変えていってしまう…。心に刺さる指摘です。このようなチャレンジが随所にある良書です。読んで満足するのではなく、どのように生きるのかを真剣に問い直したいと思わされています。自己実現のために生きるのか、それとも主イエスの願いが実現するためにラディカルな生き方をするのか…。

 

この本を記した後、ディビッド・プラットは南部バプテスト連盟の国際伝道局(海外宣教部門)の責任者に選出され、メガチャーチの牧師を辞しました。選出後の会見で、彼は「福音が伝えられていない民族グループはもうないから、国際伝道局はもういらないと言われる日が来るために、私は今生き、リーダーをしています」と語っています。

 

私たちは今、何のために生きているでしょうか…。

 

www.christiantoday.co.jp*1

 

ラディカル

ラディカル

 

 

Radical: Taking Back Your Faith from the American Dream

Radical: Taking Back Your Faith from the American Dream

 

 

 

*1:「急進派」という訳語には抵抗のある人もいるかもしれないが、南部バプテスト連盟・倫理および宗教の自由委員会の委員長、ラッセル・D・ムーア氏は「私たちは変化を生み出すことのできる急進的な(radical)リーダーが必要です。しかし、それは正しさにおいて、聖書に徹底的(radical)という意味でです」と説明をしている。