新しい教会開拓をする人々は「リスクを冒す人々」とみなされます。資金もなく、建物もなく、人材足りない中でそれを行うことは、誰がどう見てもリスクの高いことです。
しかし、トム・レイナー博士は「教会開拓には確かにリスクがあります。しかし、教会の再活性化にも紛れもなくリスクがあるのです」と語り、「教会再活性化のためにリスクを冒すリーダーがなぜ必要か」というテーマで興味深い記事を記しています*1。レイナー博士の挙げているポイントをコメントを加えながら紹介します。
1. 現状維持教会というものはない
健康に向かって前進する教会か、それとも死に向かって衰退に向かう教会か、このどちらかの教会しか存在しかありません。現状維持志向には落とし穴があります。
それは、維持をしているつもりであっても実は気づかないうちに衰退に向かうというものです。ですから、健康に向かって前進、変化を求める姿勢が常に必要なのです。
2. 再活性化を必要とする教会は、改革促進者(チェンジ・エージェント)によって率いられる必要がある。
変化には痛みが伴い、様々な困難に直面することは避けられません。そして、大抵の場合、非常に時間がかかります。そのようなことに耐え、常に地道な変化を起こしていくリーダーが必要です。
このような忍耐強く勇敢なリーダーを「改革促進者(チェンジ・エージェント)」と呼ぶことができます。
3. 再活性化のリーダーは、自分たちの職を喜んで危険にさらす人でばければならない。
教会再活性化のリーダーは、自らの職が不安定であることを知るべきです。数え切れないほどのリーダーたちが変化を起こして現状を揺さぶり、その結果どんなことを経験しているでしょうか。ある種の権力を握っている人々の不興を買って、解雇されているのです。
使命を途中で投げ出さない忍耐力は必要ですが、職を失うことをいつも恐れているならば変化を起こすことはできません。ある、リーダーシップに関する研究者が「リーダーとは、人々が受け取れる程度の“がっかり”を見極められる人」といったことを言っていた記憶があります。誰だったか、ど忘れしましたが…。
4. 再活性を志向するリーダーに批判はつきものである。
このことゆえに、多くのリーダーたちがリスク回避の行動を取ろうとします。攻めではなく防御の姿勢で、「批判されないように…」「あの人がなんと言うだろうか?」という思いで牧会が左右されてしてしまうのです。
もちろん、批判の中には耳を傾けるべき内容も含まれているでしょうし、謙遜に聴く姿勢も重要です。
しかし、リーダーに求められるのは、人を恐れることではなく神を恐れることです。すべての人を喜ばせ満足させることは不可能ですし、それは神様に求められていることではありません。
批判に揺り動かされないためにも、教会のリーダーは神が自分に何を求めておられるかを、しっかりと聖書から握っていることが重要になってきます。
5. 教会の再活性化は、リーダーが月並みの現状に安住するのではなく、不快をも伴う未知の未来に向かって進もうとする時に起こる。
教会の再活性化を導くリーダーは何年も先の将来を見据えています。誰もが諦めている中で期待し、多くの人が投げやりになっている中で汗をかき、大半の人々が恐れている中でリスクを冒します。
そのようなリーダーが立ち上がる時、教会の再活性化は始まるのです。
感 想
レイナー博士が挙げた5つのポイントは相互に重なる内容ですが、強く思わされることは「教会が変わっていくためにはリーダー自身が変えられ続けていく必要がある」ということです。
これは、言うは易く行うは難し…。
筆者自身、いつの間にか現状維持志向に陥り、知らず知らずのうちに後ずさりしてしまっていることがあります。神を恐れる以上に人を恐れて、決断を躊躇してしまったり…。
元日本ハム・ファイターズ監督のトレイ・ヒルマン氏は「日本のすばらしさの一つは礼儀正しいことだ。一方、日本人が抱える弱さは恐れだ。人からどう思われるかと、他人の目を恐れている」と語っていました。まさにその通り。
そんな情けない現実の中で、いつも思い起こすことがあります。それは、私自身のために主がどんなリスクを冒してくださったかということ…。また、花嫁である教会を得るために、花婿イエスがどれほどのリスクを冒してくださったのかということ…。
この主は、計り知れないリスクを冒し、しかし、討ち死にしたのではなく勝利されました。そして今日も「勇気を出しなさい」と私に語りかけてくださっています。このことを思う時、私は再び立ち上がる力を得て、必要なリスクを冒す勇気を抱くようになります。
また、このような大切なことを思い起こす上で、同労の友人の存在は大きいと思います。変化のためにリスクを冒しているリーダー同士が助け合うことをもっと促進していきたいと思います。
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