道奥 MICHINOKU せみなりお

聖書を学び、聖書で考え、聖書に生きる

心を奪われ続けるべき働き(3)

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私が行くまで、聖書の朗読と勧めと教えとに専念しなさい。(1テモテ4:13 )

 

前回は、この御言葉から、聖書の朗読に専念しなさいという教えについて考えました。聖書を学んで準備し、しっかりと朗読し、それを解説することがいかに大切であるかを確認することができたと思います。次に今回は「勧め」に注目したいと思います。

 

この「勧め」とは、励まし、慰めとも訳される言葉で、御言葉を具体的に適用するよう人々を奨励することを意味しています。

 

使徒の働きの13章を見ると、シリヤのアンテオケを出発したパウロの宣教チームが、舟でキプロスに行き、その後また本土に戻ってピシデヤのアンテオケというところに行ったことが書かれています。

 

14 …彼らは、ペルガから進んでピシデヤのアンテオケに行き、安息日に会堂に入って席に着いた。15 律法と預言者の朗読があって後、会堂の管理者たちが、彼らのところに人をやってこう言わせた。「兄弟たち。あなたがたのうちどなたか、この人たちのために奨励のことばがあったら、どうぞお話しください。」16 そこでパウロが立ち上がり、手を振りながら言った。「イスラエルの人たち、ならびに神を恐れかしこむ方々。よく聞いてください。(使徒の働き13:14-16)

 

このように話し始めたパウロは、この後、出エジプトから始まって、旧約聖書に記されているイスラエルの歴史について詳しく話します。彼は、いきなり「適用」に入るのではなく、解き明かしを重んじている。その上で、彼は、“単なる解説”で話を終わらせることも決してしません。

 

パウロは、人々が御言葉を自分自身の生活や人生に適用し、具体的な応答、実際的な行動を起こすよう促し、励ました。この続きを見ると、ここで彼は、「よく知っておいてください」「福音を拒んで滅びることがないように…気をつけなさい」「神の恵みにとどまっているように」というような勧めをしたことが分かります。

 

教会が健全に力強く成長するために、この「勧め」の働き(つまり、御言葉を実際の生活、行動に適用させるよう働きかけること)は非常に重要です。

 

人々が聞くだけの者で終わってしまうのでは問題です。御言葉を聞いてそれを行う者となっていく必要があります。教会は、御言葉によって生き方が変えられ続ける者の群れである必要があるのです。

 

だから時には、パウロがこのピシデヤのアンテオケの会堂でしたように、御言葉に従わないことがどんなに災いであるか、それが一体、どんな惨めな結果をもたらすかを厳しく警告しなければならない場合もあるでしょう。

 

兄弟たち。あなたがたに勧告します。気ままな者を戒め、小心な者を励まし、弱い者を助け、すべての人に対して寛容でありなさい。(1テサロニケ5:14)

 

勧めはもちろん、講壇から説教として権威を持って語られるべきです。しかし、それだけでは不十分です。一対一のカウンセリングや牧会的な会話、あるいは少グループの中で相手に応じた勧めがなされていく必要があります。全体に向けて語るだけだと、気ままな者が誤った励ましを受け取って調子に乗り、小心な者が不必要な責めを感じるようなことが往々にして起こるからです。

 

 

気ままな者に対しては、彼らが戒められ、自分の誤りに気づいて方向転換させられるように語らなければなりません。マッサージ師は基本的にみんなを気持ち良くしますが、メッセージ師は必ずしもそうではないのです。

 

それを聴いた会衆がブルブルっと震え、背筋を伸ばし、襟を正さずにはいられなくなるような勧めや叱責がなされる必要も時にはあるでしょう。旧約の預言者たちも、新約の使徒や預言者たちも、また、教父たち、宗教改革者たち、ピューリタンたち、リバイバリストたちもそのような勧めを語りました。

 

あくまで寛容さと謙遜さを伴ったものでなければなりませんが、説教者には威厳が必要です。パウロはテトスにも「…十分な権威をもって話し、勧め、また、責めなさい。だれにも軽んじられてはいけません。」(テトスへの手紙2:15)と語っています。

 

しかし、勧めは、厳しいものばかりではありません。小心で臆病な人には豊かな慰めと励ましが必要です。上でも触れたように、この勧めという言葉は「励まし」「慰め」とも訳されるのです。「大丈夫、恐れる必要はない、主が共におられる!」という言葉を、単に人間的な気休めではなく御言葉の真理に基づいてしっかりと語り、人々の心に浸透させていく必要があります。

 

また、さらに、弱い人を具体的に助けるアドバイスを語る必要があります。どのような視点をもって判断、決断すればよいか…。次のステップとしてどんな一歩を踏み出すのが良いか…。その人が御言葉に従って具体的に行動するとき、それが一体どんなに素晴らしい幸いをもたらすか…。

 

御言葉に従って生きることの素晴らしさを熱心に語り、御言葉に対して従順せずにいられなくなるよう人々を押し出す…。教会には、そんな勧めの働きに熱心に専念する者たちが必要とされています。

 

私が行くまで…勧め…に専念しなさい。(1テモテ4:13 )

 

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