道奥 MICHINOKU せみなりお

聖書を学び、聖書で考え、聖書に生きる

教会の再生と牧会理念(1)

f:id:mentoringservant:20181204183054j:plain

教会は死ぬのか?

 

8,000ほどある日本のプロテスタント教会、信徒数が55万人、礼拝出席32万人と言われています。その中で、信徒の平均年齢は約63歳、牧師の平均約70歳という現状です。これは、日本社会全体の高齢化よりも遥かに進行した状態です。

 

専従(専住)の“いわゆる牧師”がいない「無牧」の教会が増えていますし、地方では教会閉鎖の話もよく耳にするようになってきました。バプテスマ(洗礼)を授かる人は、全国で一教会平均で一年に0.8名という状況です。何年もゼロという教会も少なくありません。

 

データブック日本宣教のこれからが見えてくる キリスト教の30年後を読む (いのちのことば社)

データブック日本宣教のこれからが見えてくる キリスト教の30年後を読む (いのちのことば社)

  • 作者: 日本宣教170?200プロジェクト編,日本福音同盟(JEA)宣教委員会、東京基督教大学国際宣教センター日本宣教リサーチ協力
  • 出版社/メーカー: いのちのことば社
  • 発売日: 2016/10/05
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
  • この商品を含むブログを見る
 

 

さらには、キリスト教会の中で様々な不祥事や残念な事件のニュースを耳にするようになっています。閉塞感という言葉を聞いて久しいし、20◯◯年には「教会消滅」とも言われ始めています*1

 

しかし、みなさんに質問したいと思います。果たして、教会が死ぬということはあり得るでしょうか?

 

「そこで、わたしもあなたに言います。あなたはペテロです。わたしはこの岩の上に、わたしの教会を建てます。よみの門もそれに打ち勝つことはできません。」 (マタイ16:8)

 

皆さんに確信していただきたいこと、イエス様を「生ける神の子、キリスト」と告白する普遍的な主の教会は決して死にません。断じて、死にましぇん!

 

残念なことですが、確かに個別の教会の中には死にかけているものや病気になっているものがあります。中には、本来の信仰告白から離れ、主イエスの教会であることを捨ててしまったキョウカイもあるでしょう。また、時代の中で一つの使命を果たし終えて消滅する群れもあります。また、命の灯火が消えかけていたのに、再び息を吹き返す教会もあります。

 

あなたの教会はどうか?

 

あなたの所属している教会、あるいはあなたの知っているいくつかの教会はどうでしょうか。具体的な様子を思い浮かべて、それぞれがどれぐらい健康かを考えてみましょう。下の5段階でいうなら、直感的にどこに当てはまると思いますか?

 

  • 5. 健康
  • 4. 概ね健康である
  • 3. 気になる病の症状がいくつかある
  • 2. かなり深刻な病気があり、様々な症状がある
  • 1. 紛れもなく死に向かっている

 

私が神学校を卒業してすぐに着任した教会は、上の5段階でいうなら間違いなく2以下、限りなく1に近い状況でした。長い歴史があり、様々な遺産もありましたが、成長期を過ぎて停滞、衰退、混乱期にどっぷりと入ってしまっていました。


影響力のある牧師たちによって率いられた成長期の後、短い期間で何人も牧師が交代し、受洗者もなかなか出ない時期が続いていました。私が着任する直前には、当時の牧師の退任を巡る騒動や教会員の離脱もありました。

 

やる気満々の私が着任した時には、20人前後の方々が重い気持ちと浮かない表情でようやっと礼拝に出席している状況でした。それぞれの話を聴きましたが、これまでの痛み、悲しみ、誰かへの非難、嘆きなどが止め処なく溢れてきました。

 

当時の私たちの教会は、次の記事で挙げる「教会の典型的な病」のいくつかにかかっていたと言えるでしょう。

 

幸いなことに、現在の私たちの教会は深刻な病気のいくつかを神様の恵みによって克服し、命ある歩みをしています。もちろん、課題や欠けも少なからずあり、悩みも多いのですが、それでも「私たちの教会は生きている」とはっきり言うことができます。私たちの教会には「わたしの教会を建てる」と仰るキリストの命が、今、確かにあります。

 

この「教会の再生と牧会理念」というシリーズでは、病気になっている教会が命を取り戻す上で、どのような牧会理念が必要か、また、それに基づいてどんな取り組みがなされるべきなのかを考えていきます。

 

(続く)

 

 

聖書信仰に基づく教会形成―西大寺キリスト教会の歩みを一例として (YOBEL新書 49)

聖書信仰に基づく教会形成―西大寺キリスト教会の歩みを一例として (YOBEL新書 49)

 

 

*1:『寺院消滅』という本がある。教会と寺院は根本的に違う存在であるが、社会においては一定の類似点を共有している。考えさせられる本であった。

 

寺院消滅

寺院消滅

 

 

人口減少社会と寺院: ソーシャル・キャピタルの視座から

人口減少社会と寺院: ソーシャル・キャピタルの視座から