従順の盟約
神の偉大さ、善さ、恵み深さ、そして、自分たちの罪ゆえに、イスラエルの民は「盟約」を結びます。このことが9章の終わりに記されています。
これらすべてのことのゆえに、私たちは堅い盟約を結び、それを書きしるした。そして、私たちのつかさたち、レビ人たち、祭司たちはそれに印を押した。（9:38）
盟約（a binding agreement）とは、共同体として一つになって神に仕えていくという約束です。前にも記しましたが、信仰の共同体に加わるということには重みがあります。
印を押した者は次のとおりである。ハカルヤの子の総督ネヘミヤ、およびゼデキヤ…（10:1）
まずはネヘミヤが印を押しました。それに引き続いた人々のリストが記されています。
10章28-39節は、盟約の具体的な内容ですが、これは日常生活に御言葉を適用するものでした。彼らは、これを守らない者は呪われても構わないという意思をもってサインをしたのです。どんなに聖会やカンファレンスで盛り上がっても、それが生活に結びつかないなら不十分です。無意味といってもよいでしょう。
…神のしもべモーセを通して与えられた神の律法に従って歩み、私たちの主、主のすべての命令、その定めとおきてを守り行なうための、のろいと誓いとに加わった。（10:29）
盟約の条項は、異教徒との雑婚の禁止、安息日や安息年の遵守、神殿礼拝の捧げ物、神殿で仕えるレビ人の生活を支えることなどについてでした。
新約の時代を生きる私たちは、御言葉を守らなければ呪われると考えて恐る必要はありません。しかし私たちは、確実だったはずの滅びから神のあり得ないほどの恵みによって救い出されました。この事実を御霊の導きによって確信させられた真の信者は（確かに罪への誘惑もありますが）「御言葉を守りたい」「御言葉に従順な者へと変えられたい」と心から願うようになります。
そのような願いが全くない人物が、もし「私はキリスト者だ」と主張しても、それはその人自身がそう思い込んでいるだけということなるでしょう。
…こうして私たちは、私たちの神の宮をなおざりにしないのである。（10:38）
このような態度は“救いの条件”ではありませんが、このような態度（少なくても願い）は一つの“救いの表れ”と見ることができます。私たちは、従うことによって救われると考える律法主義に反対します。それは真の福音と異なるものだからです。
しかし同時に、その人が自分をクリスチャンだと思っていればどんな生き方をしていても無条件に救われているという考えにも反対します。洗礼を受けていても、教会に長く通っていても、そして、場合によっては聖職者の肩書きをもっていても、もう一度、はっきりと福音を聞いて明確に救われる必要のある人々がいます。
自ら進んで…
イスラエルの民の中から、十分の一が、エルサレムの都に住むこととなります。
すると民は、自分から進んでエルサレムに住もうとする人々をみな、祝福した。（11:2）
彼らは自発的に移住をし、都の維持管理にあたり、定期的なイスラエルの祭りの運営に携わりました。合計約三千人というのは多いように思えるかもしれませんが、本来必要な人員からみると非常に少なかったのです。神の働きのために自ら進んで立ち上がる人々が多すぎて余るということはまずありません。
盟約に加わった忠実な民の中でも、「自ら進んで」という率先性をもった人々は一部だったようです。主の呼びかけに対して、自発的・積極的に応答する者へと変えられていきたいものです。
賛美の回復
12章を見ると、彼らがダビデの時代のように歌をうたって礼拝をした様子が記されています。バビロン捕囚時代には考えられなかったことです。
こうして、彼らはその日、数多くのいけにえをささげて喜び歌った。神が彼らを大いに喜ばせてくださったからである。女も子どもも喜び歌ったので、エルサレムの喜びの声ははるか遠くまで聞こえた。（12:43）
賛美を捧げるのは自己満足のためではありません。自分がよい気分になるために賛美歌やプレイズソングを歌うのではありません。これらは神への捧げ物であり、神の恵みに対する心からの応答です。と同時に、心からの賛美は神の素晴らしさを他の人々に証しするものとしても用いられます。
私たちの捧げる賛美が、神ご自身の喜ばれるものとなり、神の偉大さを告げ知らせるものとなりますように。
