道奥 MICHINOKU せみなりお

聖書を学び、聖書で考え、聖書に生きる

心を奪われ続けるべき働き(4)

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…教え…に専念しなさい。(1テモテ4:13)

 

この「教え」という言葉は、第一・第二テモテ、テトスという、いわゆる「牧会書簡」と呼ばれる手紙の中に15回出てきます。さらに、これらの書簡の中では「健全な教え」という特徴的な言葉が何度か用いられています。専念すべき働き、心を奪われるべき働きの3つ目として「教え」に注目してみましょう。

 

 

というのは、人々が健全な教えに耳を貸そうとせず、自分につごうの良いことを言ってもらうために、気ままな願いをもって、次々に教師たちを自分たちのために寄せ集め…(2テモテ4:3)

 

この教えという言葉は、英語の聖書ではteachingもしくはdoctrineとも訳されていますが「真理の体系」「教理」を意味します。

 

「健全な教え」というのは、健全な教えの体系です。パウロが「わたしの福音」「この福音」と語ったような、また「使徒たちの教え」と呼ばれるようなものであり、それは混ぜ物のない、真理の体系です。

 

確かに新約聖書を見ると、それらの教えが必ずしも“体系的”に書かれているようには見えないかもしれません。しかし、語り手(書き手)の個性や置かれている状況や聞き手(読み手)の違いに応じて表現や強調点が異なっても、パウロもペテロも使徒たちも同じ教え、福音を語っています。ローマ書やガラテヤ書とヤコブ書は決して矛盾しないのです。

 

健全な教会は、健全な真理の体系をもっている必要があります。教会の指導者は、健全な教理を教会に浸透させる働きに心を奪われ、その働きに魅了され、夢中になって取り組む必要があります。教理を正確に、深く、楽しく教える者になっていきましょう。

 

また、信徒の皆さんは、自分たちの信じていることがどういう体系を持っているのか、自分たちの抱いている希望は一体どういう裏付けを持っているのか、それをしっかりと掴むため、熱心に学ぶ必要があります。

 

「そんな暇はない。私たちは忙しい。それはプロに任せます」と言いたくなるかもしれませんが、難しい時代、忙しい時代だからこそ、物事をどのように見極めるべきかを示す真理の体系が必要です。

 

使徒の働きの20章で、パウロはミレトという町にエペソ教会の長老たちを呼び寄せて、別れの説教をします。彼はその説教の中で、エペソ教会で自分がどんな働きをしてきたかを振り返って、このように語りました。

 

 

20:26 ですから、私はきょうここで、あなたがたに宣言します。私は、すべての人たちが受けるさばきについて責任がありません。20:27 私は、神のご計画の全体を、余すところなくあなたがたに知らせておいたからです。… 20:32 いま私は、あなたがたを神とその恵みのみことばとにゆだねます。みことばは、あなたがたを育成し、すべての聖なるものとされた人々の中にあって御国を継がせることができるのです。(使徒20:26-27, 32)

 

専念しなさい…。心を奪われなさい…。

 

私たちの教会は、何に心を奪われ続け、魅了され続け、夢中になり続けているでしょうか…。もしかすると、パウロが教えているのとは違う、別なものに心を奪われているかもしれません。

 

それは教会に集う人々の人数であるかもれないし、教会の財政や会堂かもしれません。また、様々な問題や試練で心が占められることもあるでしょう。それらを気にすることが必ずしも無意味な訳ではありません。確かに一つ一つ大切な事柄でしょう。

 

しかし、パウロがこれ以上ないほどにしつこく、念を押していることは、それらのものではない…。そのことを心に留める必要があります。

 

私が行くまで、聖書の朗読と勧めと教えとに専念しなさい。(1テモテ4:13)

 

私たちはやがてパウロの訪問ではなく、主イエスご自身が私たちを迎えに来られることを経験します。それまでに何に専念して歩むか、それが問われています。

 

説教と説教者

説教と説教者

 

 
牧師のみなさん、御言葉を教える長老、宣教師のみなさん、さらに御言葉の務めに心を奪われましょう。どんな教会のどんな牧師も、「私は聖書の解き明かしや教えを大切にしてません」なんて言わないでしょう。「これは重要ですか?」と聞かれたら、百人中百人が「がい、もちろん重要です」と言うに違いありません。

 

しかし、「あなたは本当に専念しているか?この務めに心を奪われ続けているか?」と問われたらどうでしょうか。

 

もし、牧会者の方々の中に、他のことに心を奪われかけている方がおられるなら、悔い改め、賜物を燃え立たせていただきましょう。

 

そして、御言葉の朗読と解説、勧めと教えとに心を奪われ続け、魅了され続け、夢中になり続けることができるよう、共に祈り求めましょう!そして、ミニストリーにおける優先順位や態度を改め、新しく歩み直しましょう!

 

偉そうなことを言いましたが、このことは私自身も聞かなければならないメッセージであり、いつも心に立ち返るべきことであると思わされています。

 

様々な問題が雪崩か津波のように襲ってきて、私はすっかり意気消沈し、心身ともに憔悴しきったことがありました。そのような時期がしばらく続き、もう牧会の働きから離れたほうが良いのではないかとさえ思いました。しかし、その中で、御言葉を読みながら次のようなことをふと思いました。

 

「私がもし、今の働きから退いてこの教会を離れるとして、果たして、パウロがエペソの人々と別れた時に語った言葉を語れるだろうか。『私は、神のご計画の全体を、余すところなくあなたがたに知らせておいた』と言えるだろうか…。」…正直な所、恥ずかしながら、とてもそんな風には言えない。このまま辞めてはいけない。絶対にいけない。」

 

 

信徒の皆さん、ぜひ、皆さんの教会の講壇のため、そこに立つ牧会者、説教者のために今以上に熱心に祈ってください。私は教会の仲間たちの祈りにどれほど支えられているか分かりません。

 

パウロも、教会に対して彼のための祈りを何度も求めました。「私が口を開くとき、語るべきことばが与えられ、福音の奥義を大胆に知らせることができるように私のためにも祈ってください。…鎖につながれていても、語るべきことを大胆に語れるように、祈ってください。」と…。あなたもそのように祈る一人をぜひ目指してください。

 

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素晴らしい賛美、立派な会堂、明るい雰囲気、多くの若者、カリスマ性のある牧師、それらものは悪くないでしょう。でも、それがどこから出てきているものかを見分ける必要があります。もしそこに、人々に都合の良い事を弁舌さわやかに語って、人々を神から引き離すような教師がいたなら、どうでしょうか。

 

御言葉が正しく強調され、しっかりと朗読され、解説され、それに基づいて具体的な勧めがなされ、健全な教理が教えらることによって主の喜ばれる教会形成がなされていきます。果てしない道のりに思えるかもしれませんが、共にそれを目指し続けていきましょう!

  

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