テトス1章
パウロの若き弟子、テトスはギリシヤ人で、パウロが開拓したクレテ島の教会を牧会していました。
同じ信仰による真実のわが子テトスへ。父なる神および私たちの救い主なるキリスト・イエスから、恵みと平安がありますように。(1:4)
パウロとテトスは「同じ信仰」を持っていました。これが、協力して働く上での基盤になっていました。
クリスチャンリーダーの資質(1章)
テトスがパウロから委ねられた働きは、クレテ島のクリスチャンたちの信仰を確立し、町々にある群れに長老(リーダー、教師であり牧師である人物)たちを据えることでした。その人々がどんな資質を持つべきであるかは、テモテへの手紙第一の3章にも詳しく書かれていますが、6-9節にも書かれています。
まず、明白に非難するに値するような人物はアウトです。そして、家庭においては愛と信仰と威厳をもって、妻と子どもたちを守り、導いている人物でなければならない。わがままでなく、短気でなく、酒飲みでなく、けんか好きでなく、不正な利を求めず、旅人をよくもてなし、善を愛し、慎み深く、正しく、敬虔で、自制心があり、教えにかなった信頼すべきみことばを、しっかりと守っていなければならないということが書かれています。
牧師としては少々プレッシャーを感じる御言葉でもあり、「私は十二分に資質を満たしています!」と胸を張ることはできません…。ただただ主の憐れみと恵みを求めながら、この資質をしっかりと自分のものにすべく励むほかありません。それにしても、この箇所は、教会にとってリーダーの資質がそれだけ重要な意味をもっていることを教えてくれます。
それは健全な教えをもって励ましたり、反対する人たちを正したりすることができるためです。(1:9)
牧会者の務めは、健全な教えをもって教会を励ますことです。また、反対者を正すことも大切です。当時も今も、神が教会を通してなさる働きを妨げようとする力は働きます。パウロの時代には「反抗的な者、空論に走る者、人を惑わす者が多くいます。特に、割礼を受けた人々(ユダヤ主義者)」(10節)が問題になっていました。
現代であれば、聖書の権威を軽んじて「聖書ではこう言われているが、でも、現代は〜〜だ」といった教えを説く人々、たとえば、結婚が一対一の男女によるものであるという理解を変えようとする人々もいます。また、信仰を、何らかの政治運動や反〜運動などと置き換えてしまうような人々もこれと重なるように思われますし、様々な異端やカルトについてももちろん同様でしょう。
パウロは「彼らの口を封じなければいけません」(11節)と厳しく語ります。また、「きびしく戒めて、人々の信仰を健全にし、ユダヤ人の空想話や、真理から離れた人々の戒めには心を寄せないようにさせなさい。」(13-14節)と語ります。彼は非常に毅然とした態度を求めており、これらのことについて態度を曖昧にすべきではないのです。
しかし、パウロは、単に議論して相手を論破したり、説き伏せたりすることを勧めているのではありません。語るべきことばは語らなければならないが、それにしても「語る者の生き方」が大事だということを言っているのです。一方の偽教師・偽預言者たちは「彼らは、神を知っていると口では言いますが、行ないでは否定しています。実に忌まわしく、不従順で、どんな良いわざにも不適格」(16節)でした。彼らの言葉は時にもっともらしく、耳に心地良いのですが、しかし、本当の意味で神を愛する生き方をしていません。
全世界のキリストにある教会に立てられている牧師、役員やリーダーたちのためにぜひお祈りください。私自身も含め彼らが、信じている教えと語る言葉と具体的な行いにおいて、健全な歩みをすることができるように…。また、皆さんお一人お一人が、そのような一人として整えられていくことができるようにもぜひ祈り、共に励みましょう。
あなたが燃え尽きてしまう前に リーダーを待ち受ける危機とその対処 Leading on Empty
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