ヨハネの黙示録1章(1)
ヨハネの黙示録は、決して読みやすい箇所ではないのですが、「この預言のことばを朗読する者と、それを聞いて、そこに書かれていることを心に留める人々は幸いである。時が近づいているからである。」(黙示録1:3)と書かれています。
「〜人々は幸いである」ということばは、黙示録の内容が私たちの人生と無縁ではないことを示しています。いや、それどころか、私たちの幸いの鍵ともなる真理が、この書に明らかにされているのです。
ヨハネの黙示録とはキリストの啓示の記録
それにしても「ヨハネの黙示録」という日本語タイトルは、なんだか謎めいた感じがしませんか? でも、タイトルとして相応しいのは「イエス・キリストの啓示」(英語ではRevelation=明らかにすること)です。黙示録は正しく読んでいけば、謎の世界に迷い込んでいくのではなく、むしろ「分からなかったことがはっきりと分かるようになる」書物なのです。黙示録は、将来についての予告を多く含みますが「ノストラダムスの大予言」のような怖い本ではありません。中心テーマはあくまで「イエス・キリスト」です。
迫害の中、パトモス島というところに流刑になっていた使徒ヨハネが、このイエス様の啓示を受け、それを書き記しました。この啓示は、教会のたどる歴史、世界の動向、そして、イエス様のご再臨と終末に向かっていく将来について語っています。
黙示録の特徴
ちょっと難しい話ですが、この書物は「黙示文学」と「預言書」という二つのジャンルにまたがっていると言われます。旧約聖書のダニエル書も同じです。そして、ダニエル書と黙示録は密接につながっています。
<黙示文学> これは、この書が、様々な「象徴(シンボル)」「比喩」「特殊な言い回し(イディオム)」を用いて書かれている事を意味しています。重要なことですが、これらの象徴等を、勝手気ままに“解釈”する注解者がいますが、あくまで「聖書は聖書によって解釈されるべき」です。
象徴、比喩、言い回しは、聖書の中で「一貫」した形で用いられているので、それらを踏まえて読む必要が有ります。また「〜ような○○○」などと記されていないところは、安易に比喩的な解釈をすべきではないでしょう。私的解釈に気をつけながら学び、教えることが重要です。(2ペテロ1:19-20)
<預言書> 黙示録は、旧約聖書にある預言の「集約版」(しかも、時系列に並んでいる)といっても良いものです。この書にある預言の七割以上が、旧約預言に関連しています。旧約預言が分かると黙示録が分かるし、黙示録が分かると旧約預言が分かると言えます。
黙示録1:19は、この書全体のアウトラインを示しています。それは、見た事(1章)、今あること(2-3章、私たちが今生きている教会時代)、これから起こること(4-22章、終末)です。
そこで、あなたの見た事、今ある事、この後に起こる事を書きしるせ。(黙示録1:19)